広告担当者もウェブバイタルへの配慮が必要

以前まではテキスト広告が主体でしたが、最近のウェブ広告は画像広告が多くを占めるようになってきました。さらに、画像の高画質化や動画広告の配信など、よりリッチな形でのウェブ広告が多くなってきています。

その一方で、画像の高画質化が進めば進むほど、ウェブサイトの表示速度は遅くなっていきます。年々、サイトのダウンロードサイズが増大してきており、最近の標準でいえば、8,000kib程度に達するウェブページも珍しくはありません。

そのため、ウェブ広告のリッチ化とサイト高速化は反比例しますが、この調和をはかるために出てきた指標がウェブバイタルとぼくは考えています。

サイト運営者にとってみれば、いくらウェブバイタルに配慮していても、ウェブ広告で300KBなどの容量の大きな画像が使用されると表示が重くなり、SEO対策上のデメリットが生じてしまいます。

結果として、広告掲載が敬遠される可能性もあるため、広告担当者もウェブバイタルについての配慮をする必要があります。

可能であれば、無駄に高画質な画像広告は使用せず、できるだけ圧縮して容量を削減してから配信するとよいでしょう。

面積の大きい広告は収益に結びつくか?

最近の広告はサイズが大きくなってきているため、それに合わせてウェブデザインも変更する必要が出てきています。

具体的には「970 × 250」あたりの広告をよく見かけるようになりましたが、なかには「970 × 280」のサイズで設定しているサイトもあり、一般的なレクタングル大「336 × 280」の倍以上の面積を占めていることになります。

それに伴い、サイトのウェブデザインも大型化する必要がありますが、一般的な2カラムのデザインでは「970 × 250」の大きな広告を配置する場所が限定されるため、ヘッダー部分やフッターに設置するケースが多いのかもしれません。

ただ、一度は設置してみたものの、掲載を取りやめてしまうサイトも多いように感じています。

私の印象では、掲載する場所がヘッダー部分などに限られるため、必然的にクリック率が低くなり、広告サイズが大きいわりに割に合わないのではないかと感じています。

仮に、通常サイズでのCTRが0.1%だったとした場合、広告サイズを大きくして0.5%程度になったとしても、コンテンツ部分で1%程度のクリック率があるのであれば、ヘッダー部分の広告を小さくして離脱率を下げた方が効率的です。

広告サイズを大きくしてクリック率は上がるとしても、そもそもクリック率が低いため、期待していたほどの収益には結びつかないのではないかと感じています。

アドセンスのテキスト広告廃止による収益への影響

約10年以上アドセンスを利用しているのですが、最近のアドセンス広告はテキストでの表示がされなくなったと感じています。いつ頃からかは不明ですが、ほぼ画像広告のみで、テキストでの広告が表示されることはほぼ見かけなくなってしまいました。

これによりアドセンス収益が減少してしまったと感じていますが、この時期を確認してみますと2019年の4月頃からと感じています。

AdSenseヘルプによりますと、「広告ユニットに関する最新情報」のページにて以下のような情報が掲載されているのですが、こちらにはテキスト専用の広告ユニットは段階的に廃止するとの記載がされています。

「テキスト専用やディスプレイ専用の広告ユニットを段階的に廃止することで、ユーザー エクスペリエンスの向上を図り、現在の広告市場の状況にも適切に対応していく方針です。」

また、「2019 年 4 月より [広告] ページが更新され、これらの変更が適用されます。」とのことで自サイトでの収益激減の時期とぴったり合致します。

自サイトでの収益低下の影響はけっこう大きいものがあったのですが、ネット上ではあまりそのような情報が出てきていないため、サイトとの相性もあるのかもしれません。

ただ、検索結果に表示される検索連動広告ではテキストタイプが表示されていますので、テキスト専用広告がなくなったわけではないと思いますが、アドセンスを掲載する個人サイトでは、段階的に廃止となっていくものと思います。

新型コロナによる広告業界への影響

新型コロナの影響により、広告業界にも大きな影響が出ていますが、当面の間は広告の出稿が縮小していく可能性があります。

テレビ局の広告収入

広告収入といえばテレビ局ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、どの局も売上が悪化しています。4月~6月の第一四半期決算を確認してみますと、概ね、どの局も30%~35%減の結果となっているようです。

7月以降は回復している印象も受けますが、番組提供の広告は半年契約のケースも多いため、1Qではなく、2Qに悪影響が出てくる可能性もあり、秋口以降、さらに業績が悪化する可能性もあります。

おそらく、コロナの影響で番組コンテンツの制作がストップした状況のなか、どの局も再放送などで対応していたことが影響しているのかもしれません。ロケや撮影などは自粛せざるを得ないでしょうし、リモートワークによる出演などでコンテンツ自体が制作しにくい状況になってしまったものと思われます。

加えて、広告主の方でも業績が悪化しているため、巣ごもり消費のカテゴリーを除いてはCM提供の打ち切りなどが影響しているものと思われます。

インターネット広告

交通系ユーチューバーなどは広告収入が半減しているとの情報もありますが、交通系やレジャー系では外出自粛の影響で大きな影響を受けています。

一方、出稿が増えているカテゴリーもあり、巣ごもり消費の分野では広告費が増えている分野もあります。ただし、大幅に需要が急増したカテゴリーについては、供給が追い付かなくなったケースもあり、逆に広告出稿を抑える傾向もあるようです。

屋外広告

外出自粛で特に大きな影響を受けたのは屋外広告になるかと思います。人が通らない場所に広告掲載しても仕方がないため、出稿を取りやめる企業も多くなったとのことです。屋外の広告スペースはガラガラといったケースもあり、縮小傾向にあるようです。

検索連動広告の意義

30代から40代の年齢層には常識となりつつある検索連動広告ですが、高齢の経営者の多くは、その効果について理解されていない方も多いと感じています。

未だにFAXをメインに使用されている50代以上の人にはなじみがなく、検索連動広告を利用することの意義について説明するのは大変な労力がかかるものです。

つい先日も歯科医院を経営する医師と雑談をする機会があったのですが、新聞の折り込み広告との比較やテレビCMとの比較など、詳細に説明してもいまいちピンときていないようでした。

この従来までの広告媒体と検索連動広告との違いについてですが、これまでの広告では自分で顧客を探しに行く必要がありました。新聞に何千部、もしくは何万部と折込広告をはさむことにより、お店側が多くの顧客にアプローチする必要性があったわけです。

けれども、検索連動広告では顧客が自発的にお店を探しに来てくれることになります。

例えば、花屋のお客さんが「花 通販」などと検索して、花を購入したいお客さんが自分で自発的にお店を探してきてくれるという違いがあります。店側がすることは、その検索結果に広告を表示するだけです。

自分で探しに行くか、向こうから探しに来てくれるのかの違いがあり、ピンポイントで効率的な集客の実現が可能になります。

この手法はOverture社が特許を持っていたため、Google社との間で訴訟に発展もしていましたが、2004年に和解しています。検索連動広告は非常に効果が高いとされており、Google社に巨額の利益を生む結果となりましたが、現在でも本質的な部分はあまり変わっていません。

ウェブの広告担当者にとっては、当然ともいえる事柄にはなりますが、世間一般で検索連動広告について理解している経営者は意外に少ないのではないかと感じています。